企業経営理論 令和6年度 第1問

応用問題

企業経営理論 令和6年度 第1問
H. ミンツバーグによって提唱された創発的戦略に関する記述として、最も適切なものはどれか。

1.創発的戦略とは、「意図された戦略」を「計画された戦略」に落とし込むための方策を表した概念である。

2.創発的戦略とは、新たな事業ドメインをつくり出すための戦略と定義される。

3.創発的戦略とは、企業が新たな市場・製品分野に進出する際、シナジー効果の創出を意図する戦略である。

4.創発的戦略とは、組織形態が戦略の選択肢を狭めるという、戦略策定過程の性質を表した概念である。

5.創発的戦略とは、もともとの経営計画には組み込まれておらず偶発的に起こっ た事象に対応することで、事後的に生み出される戦略のことである。

解答
5
問題の考え方

Point

「創発的戦略」は多くの受験生が知らない

「困難な状況に陥っても、冷静に対処できるか」を見ている

基本的な文章構造を分かっているか、言葉の意味を推測できるか

「創発的戦略」というキーワードを知っている受験生はごく少数だと考えられます。試験委員もそのことを理解した上で、この問題を出題しているでしょう。この問題で確認したいのは、「突発的な困難な状況に直面したときに、冷静に対応できるか」という点だと推測されます。つまり、いきなり難問が出題されているが、冷静に判断して次の問題に進めるか(分からなければ、飛ばして次の問題に進む判断ができるか)。この問題自体は難問であり、仮に正答できなくても、合否にはほとんど影響しないと思われます。

問題解答の考え方としては、まず「創発的戦略とは、~という戦略」という基本的な文章構造が理解できているかが重要です。この視点から選択肢を確認すると、選択肢1は「~方策を表した概念である」、選択肢4は「~性質を表した概念である」となっており、「戦略は、~という戦略」という形ではないため、除外できます(戦略は方策や性質ではない)。この時点で選択肢は3つに絞られます。

次に、「創発」という言葉の意味を考えてみましょう。「創発」という言葉は一般的ではありませんが、「創る」という言葉から、「何かを創り出す、生成する」といった意味が推測できます。この場合、「創る」というのは「新しい何かを生み出す」というクリエイティブな意味を持つと考えられます。

これに基づくと、選択肢2は「~をつくり出す」、選択肢3は「~の創出」という表現が含まれており、一見どちらかが正しいように見えます。しかし、選択肢2は「事業ドメインをつくる」という具体的な行為に焦点を当てており、やや不自然です。また、選択肢3は「創」という言葉を強調しつつも、「意図する」という言葉で曖昧な表現にしています。

結果として、選択肢5「事後的に生み出される戦略」が最も適切だという判断になります。「創発」という言葉のイメージにも合致する印象です。ただし、選択肢2と選択肢3を除外するのは難しく、正解を選べなかったとしても無理はありません。

この問題のポイントは、「ほとんどの受験生が創発的戦略を知らない」ということです。この状況下で、冷静に仮説を立て、不正解の選択肢を除外していく能力が試されています。また、「創発的戦略」というキーワードを暗記しても、来年は別のキーワードが出題される可能性が高いため、その学び自体には大きな意味がありません

重要なのは「未知の状況に対して冷静に対処する力を養うこと」です。第1問にこの問題を配置したのも、突発的な困難に対してどう対応するかを見極めたいという意図があると考えられます。

なお、「創発的戦略」についての理解を深めたい場合には、以下のリンクが参考になります。
ハーバードビジネスレビュー記事
※この記事が専門的なメディアに掲載されている点を考慮すると、試験委員は受験生がこの問題に「知識で正答できることを求めていない」と判断できるでしょう。

出題分野